以前から、鹿児島と屋久島を結ぶ折田汽船「フェリー屋久島2」それから岩崎産業「はいびすかす」を撮って、乗りたいと思っていました。
鹿児島も屋久島も東京から離れていて尻込みしていましたが、2024年9月の秋分の日とその振替休日の連休でようやく訪問を果たしました。
2024年9月20日
羽田空港6時25分発のJAL 641便で鹿児島へ向かいました。前夜は第三ターミナルで…
空港到着時は曇り、連絡バスで天文館に到着すると晴れてきました。お目当てのフェリーが鹿児島に入港するのは夕方なので、それまでは市電の撮影。
1系統の甲東中学校前や新屋敷の電停で撮影しましたが良い雰囲気にならず、昼前に鹿児島駅に移動しました。

白くま黒豚電車の601号や、さんふらわあライナーの9702号は車に被られてしまって残念でしたが、広告なしの綺麗な9500形を撮れて満足。

いづろ通りの交差点で標準色の2両がすれ違い。

途中でようやく、鹿児島駅前を起点に1系統と2系統交互に運用されるのだと気付きました。少し早く気付いていれば、群元あたりまで移動するタイミングがあったのではないかなと少し後悔。
2系統 鹿児島中央駅前を発車した電車を後追いで。
雲が多いものの、待っていれば晴れるタイミングはあったと思いますが、あまりにも暑いのでネットカフェへ退避して、17時頃、南ふ頭旅客ターミナルへ移動。

錦江湾にコスモライン「プリンセスわかさ」が種子島より戻ってきました。
遠くに見えるのは鹿児島交通「フェリー第十一おおすみ」



「プリンセスわかさ」の後追って「フェリー屋久島2」が帰ってきました。客船を絵に描いたような優雅な姿で、長いこと撮りたかった憧れのフェリーでした。
あいにく鹿児島港は曇り空に加えて桜島の山頂も隠れてしまったのでいつか再履修したいですが、ひとまず、この美しい姿を見れて最高でした。

市内に戻ると、カフェトラムの605号が貸切で運転中でした。写真を拡大すると、立席で賑わっているようです。もちろん東京でも都電荒川線で貸切はできますが、雰囲気が違いますよね。
2024年9月21日

翌朝、優れない天気でしたが桜島に渡りました。
桜島溶岩なぎさ公園の遊歩道を南ふ頭旅客ターミナルの防波堤の対岸辺りまで歩きました。

鹿児島というと桜島という感じですが、薩摩半島も500m級の山が並んでいて、ロケーションがよいです。
種子島からのジェットフォイルが8時半頃に入港します。

8時半過ぎ「フェリー屋久島2」を先頭に「プリンセスわかさ」の二隻が出航します。
防波堤をかわして傾いた船体が迫力あります。

閑散とした「フェリー屋久島2」のデッキに比べて、「プリンセスわかさ」はそれなりに賑わいを見せているのが印象的でした。

空いた時間を使って、観光列車の「指宿のたまて箱」に乗ることにしました。
指宿から鹿児島中央行きの列車を予約したので、指宿駅までは普通列車で向かいました。景色は良いのですが、車両限界にはみ出している草木を全く伐採しておらず、バシバシと叩きつける音が怖いくらいでした。
駅を出ると、非常に雰囲気のある鹿児島交通の指宿営業所があります。このバスは元神奈中だそうですが、運賃幕が埋められています。

「指宿のたまて箱」は3往復運転されていて、下り列車が到着してそのまま折り返しになります。
下り列車からも大勢乗ってきましたが、これからどこに行くのかなあと思いました。商店街はシャッター街になっています。

弁当は3営業日くらい先の事前予約限定で買えなかったので、鹿児島中央駅で事前にサンドウィッチを買っておきました。指宿駅はキオスクがあるだけなので、買って正解でした。指宿サイダーは車内販売。
そういえば四国の「藍よしのがわトロッコ」もこのパターンで弁当を食べられていないのでした…


天文館のバス停から5番線 卸本町・七ツ島1丁目線のバスに乗り、谷山港へ向かいます。一日1本しかないバス(正確には、同じ系統で朝に1本あるが谷山港には行かない)を天文館で待つのは緊張しました。
鹿児島交通がGoogleマップに情報提供していないのはよく言われていますけど、GTFS リアルタイムデータまでないと不便だし、その整備は手間だろうなと思います。
谷山港は本当に何もないですが、県道沿いの商業施設にコンビニ、飲食店、ドラッグストア、何でも揃っているので、時間次第では谷山電停から影原行きのバス(それなりに本数ある)に乗って1kmくらい歩いて、買い物したり休憩してから港に行くのも良いと思います。

「はいびすかす」のハイビスカス要素は船体の色と乗船券の印刷だけではなかろうか…

これが噂の「はいびすかす」…!という気分になります。
出航の約1時間前でコンテナは積み終わり、バラで建材やパイプなど長尺物を積み込むフォークリフトが慌ただしく動き回っていました。
乗客もランプウェイから乗り込みます。



出航
しばらくして、曇の隙間から赤く染まった空が見えて非常に良い気分となりました。
2024年9月22日



翌朝、目を覚ましてデッキに出ると屋久島が目の前でした。
屋久島の山々が雲に包まれて、さながらジュラシックパークに搭乗する熱帯の島だなと思いました。屋久島は温帯だし、標高があるので熱帯ではないのですが。
写真を連写すると左右に揺れているのが画像からも伝わる程度に揺れながらの船旅でしたが、船中泊は種子島の岸壁なので船酔いも無かったです。写真には写っていませんが、左端に自衛隊の掃海艇が停泊していました。大変な仕事です。

約15分遅れて町営フェリー「フェリー太陽Ⅱ」の隣に着眼しました。
口永良部島のフェリーはよく欠航するという話で、当日も残念ながら欠航でした。

下船しました。
船倉から急傾斜のスロープを上って鹿児島交通のバスが出てきて面白かったのですが、もたもたしているうちに撮り逃しました。

遠目にも普通のフェリーらしからぬスタイルです。
上りの種子島・鹿児島便は8時10分発なのですが、時間を勘違いして街歩きをしているうちに出港を撮り逃しました。とはいえ出港を順光で撮れるわけではないので、まあまあというところです。
「はいびすかす」を船首から順光で撮るチャンスは、宮之浦に接岸する際に回頭するタイミングだと思いますが、「はいびすかす」を先回りして屋久島に到着することはできません。フェリーのために宿泊は少々厳しいですね。
もしマルエーフェリーの屋久島寄港が再開すればチャンスはありますが、果たして…



昼の「フェリー屋久島2」の入港までの時間を使って白谷雲水峡に行きたかったのですが、2024年の台風10号の影響で直前まで閉鎖されていて、バスが再開していませんでした。
白谷雲水峡自体は訪問直前の9月20日には一部オープンしていたようですが、バスが再開したのは10月に入ってからのようです。
これではもうすっかりやることがないので、一湊海水浴場というところにバスで行ってみました。ちょうど、9時15分発のバスで行って、9時42分のバスを撮影して、10時17分発のバスで宮之浦に戻りました。
私が乗った往路のバスがそのまま折り返しで普通のエルガでしたが、合間に撮影したバスは丸目のエアロスターで非常に好ましい感じです。
海水浴場は綺麗でしたが、少し先で一気に深くなっているのがわかるのが怖いし、遠くにコンクリート建築物の廃墟があってこれも気味悪いです。遊ぶなら遠浅の綺麗な海がいいです。

宮之浦に戻ると、ちょうど10時40分のトッピーが出発したところでした。

港の端で「フェリー屋久島2」を待ちます。
MarineTrafficのアプリに出ていても、船はゆっくりで待ち遠しいです。やや遅れて、12時半過ぎに防波堤の影から姿を現しました。

屋久島・宮之浦港 入港


出港までにライフセンター ヤクデンで昼食を買って、いざ乗船



最上部の展望室「ブーゲンビリア」に陣取り、船内を散策
ドーム屋根の立派なエントランスホールや劇場まで用意された立派な内装の船です。特に、前方に設けられた展望室は、学生時代に上海から乗った日中国際フェリー「蘇州号」を思い起こさせました。
あの時乗った「蘇州号」も乗客が少なく、自由気ままに船内を散策して、気分が悪くなったら前方展望室のソファで倒れていました。
この船の特徴は船をほぼ一周できるプロムナードデッキでしょう。デッキは木製で、雰囲気抜群です。しかし、塗装や木材の痛みは痛々しいです。

生憎の天気で、雨も降ってきて、4時間の航海はさすがに船酔いしました。
厳しいコンデションのなか、17時半過ぎに鹿児島港に帰還。


「プリンセスわかさ」は毎日戻ってきますが、「フェリーあまみ」「フェリーきかい」が揃うのはかなり珍しいのではないかなと思います。
乗船も下船もギャングウェイから。これはちょっと怖いです。結構高さがあるのですよ。

瀬戸内の船旅はいつも暖かいイメージがあります。天気が悪くても、明るい気持ちになった思い出もあります。
でもこの船旅はちょっと暗い気持ちになりました。船旅も難しいです。
2024年9月23日
最終日はホテルでゆっくり休んで、天文館からバスで鹿児島空港へ戻ります。
来たときは気にならなかったのですが、異常にシートピッチの狭いバスで窮屈でした。

展望デッキからは離着陸する飛行機がよく見えて楽しかったです。
プロペラの小型機に交じってBoeing 767などの大型機も見れるし、大韓航空も来ます。
小型機はちょうど目の前で離陸するので良いです。

JAL 646便で羽田に戻りました。機材遅れで鹿児島出発は1時間10分遅れ。
旅の最終日は早めに家に帰れると嬉しいです。羽田から自宅がかなり遠いのです。
ひょっとすると成田のほうが楽に帰れるのではないか…と感じます。
1年越しの旅の感想としては、やはり天気です。素敵な被写体は良い天気で撮りたい、というところに尽きます。
それでも、やはりこの機会に「はいびすかす」と「フェリー屋久島2」に乗れて良かったと思います。特に「フェリー屋久島2」は2024年10月上旬から2025年3月末まで故障のため運休していました。
現在、離島航路のフェリーは地域の足として新造船への更新が進みますが、民営化後のブルートレインがそうであったように、どれだけテコ入れしても終わりは来ます。これは間違いありません。
素敵なフェリーは今のうちに乗って、撮っておこう、そのように強く感じたところです。