シベリア鉄道・欧州遠征7 ヘルシンキ-2

早いもので気づけば3月も終わりに近づいてきました。来月から新学期、しばらく通学したら夏休みに入って遠征だなあ。恐ろしくらいに早いです。

さて。前回は久々に鉄道模型のお話をしましたが、今回は欧州遠征の続き。ヘルシンキ2日目です。

ヘルシンキで泊っているホテルは普通に人権のあるホテルでしたので、ビュッフェスタイルの朝食。周りから日本語が聞こえてきて、これまでのシベリア鉄道やモスクワとは大違いです。

朝食後、昨晩のうちに準備した荷物を持って郵便局へ。日本へのEMS料金は5kgまで50€(2017年夏時点)。50€と言うと高いんですが、例えば神奈川から大阪まで大きめの段ボールを送れば1500円くらいでしょうか。海外から日本で早く、確実に着く、しかも自分は身軽になれるなら 50€ はお得かなあ、と思いました。

郵便局へ行った午前中こそ若干の晴れ間があったものの、午後から街に出ると残念な空模様になってしまいました。

スオメンリンナ要塞に再び渡っても良かったですが、天気が悪いならその必要はないなあ、雨も強くなってきたしなあと頭を抱えつつ、腹が減ったので適当な(ヘルシー志向の)ハンバーガーショップへ。

本当はFoursquareアプリで評価の高かった、港近くの社食みたいななところに行きたかったのですが、どうやって会計するのか理解できなかったので撤収。スタローバヤ的なスタイルか地元民も多く美味しそうだったんですけどね、あれは残念。

天気は悪いし雨足も強くなってきたしどうしようかと困ったのですが、取り敢えず電車に乗ろう。乗り鉄しよう、と駅に向かいました。既に14時ですから、そこから1時間乗ると少し遠すぎる気がするし30分は短い、ならばと45分くらい乗ることにしました。時刻表を見ると、ヘルシンキの北方にあるヒュヴィンカー という街がちょうどいい距離でした。乗車時間はおよそ45分、9.7€はクレジットカード決済です。

VR Class Sm4という車両。2両ユニットの一部低床式、欧州にありがちなスタイルですが連接台車ではないです。フィンランド国鉄には詳しくないので ヒュヴィンカー方面の路線が幹線なのかちょっと分からないですが、ここでは4ユニット繋げて8連。ちなみに驚きの26m級車体。

スオメンリンナ要塞のフェリーでちょろっと書きましたが、切符は自分で打刻するスタイルです。

切符には英語で自分で打刻しろ(validate)と書かれていますが、ホームに機械が見当たらず少し焦りました。機械は車内にあります。


写真は帰り際に撮ったものですが、木造スタイルのこじんまりとした駅に到着。ただ、ホームは8両以上対応だし2面3線+通過線2本で普通に大きな駅ですね。

時間潰しの乗り鉄のつもりでしたが、そのまま折り返すのは勿体ない。車内でヒュヴィンカー に何があるのだと調べていると、フィンランド鉄道博物館があるらしい。狙ってるだろって感じですが、これは本当に偶然(^^ゞ

ヘルシンキではかなり雨降っていましたが、幸いこちらでは控えめ。悪天候なのでなんだかなあって雰囲気ですが、閑静な(?)住宅街を暫く歩いて…

Suomen Rautatiemuseo

フィンランド鉄道博物館に到着。鉄道員の格好をした係員にスチューデントと伝えて入館料は学割で5€。

サンクトペテルブルクの水中翼船もそうでしたが、普通に日本の大学の学生証提示しています。国際学生証というものがありますが、自前のものに○○UniversityやStudent IDと書いてあれば問題ないと思うんですよね…国際学生証オンリーの特典がどれだけあるか知らないですが、学割適用だけなら学生証が日本のだから駄目って断らないと思うんです。どうせ確認出来ないですし。

Class Sk1

案内に従って入るとまずは古典機のコーナー。この博物館はフィンランドの古典機、鉄道黎明期がメインですね。自分はこの辺りの区分はさっぱり詳しくないので良く分からないです。

Class C1

“入念に”レストアされたイギリスのネルソン製機関車。1869年製造で1920年代まで現役。調べたわけでは無いですが、日本でも官営鉄道の機関車を払い下げて延々使用するというのは行われていた訳ですから、いかにも黎明期のスタイルのまま戦前まで働いていた機関車というのは国内にもあったんじゃないでしょうか。

(左)Class C1 (右)Class A5

鉄道でもなんでもそうですが、しっかり遺産として継承してあげる作業、残念ながらそういった意識が日本には少ないですよね。

VR Class Dr13

奥に進むと近代的な感じの機関車。せめてこのくらいの年代にならないと興味が湧かないなあ。

真っ暗だし半面光的な感じで素敵だったので足回りまで気にしてなかったのですが、とても特徴的な足回りを持っています。 3軸台車は内側軸受方式で、その片側にモーターからの最終減速機が設けられています。アルストムが設計しているので、フランスにも似たような構造の機関車があるのでしょうか…(車体デザインはまさしくアルストムですね)

VR Class Dm7

両運転台の気動車。画像検索したら博物館の線路を走っている写真があったので、動態保存されているのかも。

この塗装を見て、日本の撮り鉄仲間に「横須賀線だ」とLINEでメッセージを送りましたね…

Tr2 Class 2-10-0 Freight Locomotive No.1319

アメリカン・ロコモティブ(アルコ、の方が知られているでしょうか)製造の蒸気機関車です。2-10-0の通り、キャブ下の従台車が無いです。日本の制式蒸気機関車にはE型テンダー機関車は無いですし、タンク機関車でもこのスタイルは見られないですね。珍しい。

戦後、機関車不足に陥ったものの国内の機関車メーカーは戦争賠償(の物品の製造)に忙しかったのでアメリカから購入する苦渋の決断、実態はアルコとボールドウィンがソ連向け(のいわゆるレンドリース)に製造したYe型機関車ベース。

扇形庫はお目にかかる機会が少ないですね。梅小路蒸気機関車館と豊後森機関庫くらいでしょうか。

以前、家族旅行で台湾に行った際に有名な彰化扇形庫を訪れましたが無念の臨時休館でした。再訪というか再履したいなあ。

時期によっては保存列車の運転を行っている(少なくとも過去には行っていた)様で、小さな博物館ですが奥に広く線路に併設されています。

野外展示として興味を引いたのはこちらの各国の軌間を再現したもの。以前、ツイッターでロシアの軌間は1520mmなのか1524mmなのかと話題になっていましたが、少なくとも隣国のフィンランドとしてはロシアとバルト三国は1524mmということらしい。

(手前)Sk3 2-6-0 Steam Locomotive No.400 (奥)Hv1 4-6-0 Class Passenger Locomotive No.555

機関庫内は狭いですが、自然光なので館内よりはいい感じでした。

大きな扇形庫では無いですから、機関車も小ぶりな感じがあります。そもそも日本の蒸気機関車にだって大して興味がある訳では無いですから、残念ながらこの手の古い機関車が面白いかというと…

手前のSk3型400号機で現存するのはこの一両だけらしい。

Pr1 Class 2-8-2 Suburban tank Locomotive No.766, Tr1 Class 2-8-2 Heavy-duty Goods Locomotive No.1033

この博物館で見れて無性に嬉しかったのが手前の1033号機。どことなく見覚えのある形で安心感(?)

軸配置だとD50やD51なんですけど、実物のスマートさはC51とかその辺りかなあ。デフレクターの形状と、単に煙突の前に前照灯が付いているとそれっぽい顔になるんでしょうかね。

サンクトペテルブルクの鉄道博物館にもこういった当時の作業スペースを再現したコーナーがありました。日本ではあまり見かけないスタイルの展示ですよね。

最後の一応子供向けらしきコーナーに鉄道模型の展示もありました。鉄道模型クラブから140両の模型を寄付されたと説明されていました。写真は二枚とも博物館に展示されていたDr13とDm3。

作成者が最初に作った模型はVr1というCタイプの蒸気機関車で、1945年、作成者が12歳の頃と書かれていました。凄いなあ。


博物館はこの通りで、恐らくタイミングが良ければ(今でも)保存運転なんかもやってるのではと思いますが、残念ながら古典蒸気機関車というのは興味のあるジャンルでもなく、館内はとても写真が撮りくいと。40分程で博物館を後にして駅に戻りました。

元々、天気が悪く昼過ぎから午後までの暇つぶしが目的でしたから、市内に戻ろうと切符を買った後に「ひょっとして駅の端で写真が撮れるのではないか」と思いまして、跨線橋を渡って下りホーム・ヘルシンキ寄りへ。

Vr Class Sm4

この辺り。

VR Class Sm3 Pendolino

結果は御覧の通り。下調べもせずに45分離れた駅へと向かって、この具合で最高。急行線を通過したフィンランドの高速列車、Sm3のカットを確認して思わずガッツポーズ。

自分で言うのもなんですが、日本でもこのスマートな構図で撮れる場所はそう多くはないように思うのですが、それが旅行先の海外で、とても喜ばしいです。

前回のエントリーで少し触れた制御客車の使い方です。手前に見えるVR Class Sm2は尾灯が点灯しているように、こちらが進行方向後方。ヘルシンキ方面に編成された制御客車から運転されている訳です。

VR Class Sm2のベースはスイス国鉄Re460形機関車ですが、個人的には広州に住んでいた頃に九広鉄路のMTR KTTで使われていたTLN001とTLS022(KTTは制御客車ではなくプッシュプルですね)として、当時住んでいたところの近くの線路を走ってるのを見かけたもので見慣れた顔です。

完全に余談ですがKTTは天井が低いし薄暗いしなんだかなあって感じで一度乗った限りで以降は中国側の列車を選んで使っていました。西洋人にはKTTの方が人気でしたけどね…乗車手続きは全く同一なのでアコモデーションは西洋人ウケが良かったのでしょうか。

VR Class Sm4

VR Class Sm2

右側のSm2は前日にサンクトペテルブルクからの高速列車の車窓からいかにも古そうな車両が見えるなあ、撮りたいなあと思っていたのでお目に書かれて良かったです。

ホームの端には30分程滞在し、これくらいの成果があれば十分すぎるだろうということでヘルシンキ中央駅へ。

再び45分程列車に揺られ、18時頃にヘルシンキ中央駅へ戻るとロシア国鉄の車両が停まっていました。サンクトペテルブルク行きのトルストイ号の出発は19時頃ですから、既に入線していたようです。

遥かウラジオストクからモスクワまで9300キロで見慣れたグレーにRZDロゴの客車、これを目にするのはこれが当面は最後かなとこの時はそう思っていました。今年の夏もモスクワを訪れるので杞憂に終わりましたが…

駅に貼られていたポスター。レトロなデザインですが車両はSm4。素的な感じで写真を撮りました。

ただ、キセル乗車するなという微妙な内容ですね…(-_-;)訳すと先に切符を買ってから列車に乗れと書かれているようです。


その後、同行者と合流して夕食。 夜の街並みを堪能といきたいですが雨足が強く、21時半頃には再び駅に戻って今度は空港行きの列車に乗車。

環状線(Ring Rail Line)ということで I系統とP系統どちらに乗っても先に出た方が到着するという記述を見かけますが、ヘルシンキ中央駅始発ならI系統の方が少なくとも所要時間はわずかに早いんじゃないですかね。 どのみち、先に来た方に乗ることには変わりない訳ですが…今回はI系統の列車です。

いわゆる「空港線」ではなく普通列車ですから、同様に先に切符を購入して打刻は車内で行います。遅い電車だからか、運営者が国鉄ではないからか分かりませんが、今回は検札も回ってきました。

30分後、ヘルシンキ空港駅に到着。

翌朝5時35分発の飛行機でラトビアへ向かうのですが時間が時間なので空港泊という訳です。何気に空港泊は初めて。同行者には渋られましたが、ファミレス徹夜に比べると横になれるだけマシだよなあ、という。

同行者がいるからこそ空港泊出来る気もします。同行者がいるからといって荷物を見てくれる訳では無いですが、一人で寝るのはなんとなく嫌だなあと。今年の夏の旅行も空港泊はしないです。というか本当はモスクワの空港で空港泊したかったんですが駄目らしいですね。

まあこんなところでヘルシンキ2日目でした。次回は経由地のラトビア、リガです。気が向いたら更新します。

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