Wキャブの2tトラックをマイカーにして1年

人生初のマイカーを手にしてから、早くも1年が経過しました。

納車直後に書いた記事では取得に掛かった費用について書きましたが、今回は年間を通じた維持費に加えて、乗ってみた感想を紹介したいと思います。実は、納車直後の記事は私のブログでアクセス数の高い記事のひとつです。何かしら、参考になればと思います。

そもそもなぜWキャブなのか。

2021年9月、新潟へドライブ

発端は大学のキャンパスへの通学路で見かけたダイナルートバンではないかと思う。キャブと荷室に段差のある特徴的なスタイルが気に入りました。それで、いずれダイナルートバンに乗りたいと思ったのですが、私は2017年の夏に免許を取っているので、トラックという括りで考えると、新普通免許の車両総重量の都合で、乗れる車両が非常に限られます。

旅行にアルバイトに(勿論、勉学も)と忙しく過ごしていた大学生活でしたが、感染症騒動で2020年のGW頃にアルバイト先が潰れてしまい、暇な日々を過ごしていました。相変わらずダイナルートバンに乗りたいと思っていたので、トラックに乗れる免許を取ることにしました。大きいトラックを運転するのも面白そうだったし、なにより準中型と中型の合宿料金はほぼ変わらないので、中型免許を選ぶのは当然でした。(ちなみに、過去の時点で雇用保険に1年以上加入していればハローワークから教育訓練給付金がもらえます。私のアルバイト先はどこも雇用保険未加入だったので、無理でした)

丹後半島での合宿中にレンタカーを借りて訪れた、伊根・新井崎漁港

会社員生活が始まり、そろそろ車を買うかと中古車を探すと、ダイナルートバンは出品が非常に少ない事に気付きます。北関東在住で写真趣味の都合で考えると、日本海側や東北地方への遠征が考えられるので、4WDが欲しい。ところがトラックの4WDは寒冷地仕様を意味するので、ただでさえ少ないダイナルートバンの4WD、足回りの状態が良く、そして予算内という個体は無さそうでした。


2021年12月、関東鉄道の撮影へ

そしてWキャブも視野に入れて調べている際に見つけたのが私のマイカー。

車両のチョイスに関しては、要するに外観の一目惚れだったので、詳細は省きますが、平成17年式、20万キロ。いすゞエルフのOEMです。当初、マイカー選びは4WDに拘っていたのですが、これは普通の後輪駆動の2WDです。

このOEMはこの1年間で1台もお目に掛かれていないような、割と少数派な車だという自覚があります。不用意に検索にヒットしても嫌ですから、メーカー名は書きませんが、エルフの形式だと、PB-NKR-81A。


メンテナンス費用

2021.6.26フューエルタンク・ユニット取換¥15,477
2021.7.26ファン・クーラーベルト交換¥15,136
2021.10.23エンジンオイル交換¥10,890
合計¥41,503

購入直後、燃料が満タンにならなかったので入庫。フューエルタンクのセンサー故障だろうと決め付けたら、燃料の入れ方が悪かったのでセンサーは無罪だったと思われる。トラックの燃料タンクに普通車のようにノズル突っ込むと、燃料が泡立ってノズルのセンサーが反応するので、満タンにならない。これには恥ずかしい思いをした…

ベルトは鳴きがひどくなったので普通に交換。Wキャブなので絶対に面倒だった思うが、安いなと思う。エンジンオイルは交換したらエンジンが明らかに静かになったので、7.5ℓも入ってやや高いが、5000km毎くらいに交換したい。

車検費用・自動車税

自動車税            ¥21,400
自賠責¥14,280
重量税¥28,500
印紙代・代行手数料           ¥9,100
車検整備基本点検料¥32,500
保安確認・総合検査料¥7,500
エンジン・シャシ洗浄          ¥8,000
<点検の結果必要になった追加整備・部品>
27行に及ぶ追加整備・部品代¥80,230
消費税 ¥13,573
(自動車税を含み)合計 ¥215,083

自動車税は、Wキャブの場合は普通のトラックの区分ではなく、貨客兼用車の区分になるのでやや高くなる。

27行に及ぶ追加整備・部品代の内訳は、正直、どれが車検や点検の項目で、どれが修理だったのかよく分からない。たとえば、この手の車両では車検時にハブを外してグリスアップすると思うが、<点検の結果必要になった追加整備・部品>のなかに「フロント及びリヤ・ブレーキ点検、掃除」という項目があって、これは車検整備じゃないのか?という気はするが、所詮は請求書の明細上のハナシなので、気にすることでもないと思う。

もっとも、スライドピン固着の対応、バッテリー取り付け台の底が抜け落ちる寸前だったり、リヤフェンダーが破損していたり(意外なことに、フェンダーは破損していると車検NGらしい)、エアクリーナーが破損していたり、といった明らかな修理事項も発生していたので、特に何もなければもう少し財布に優しくなるはず。

ただし、今回はスムーサーのオイル交換(3万円程度と思われる)はパスしてもらったのと、クーラント液交換の依頼は忘れている。

整備士の総評としては、錆がひどいが全体的に故障もないし大丈夫とのことだった。個人的にはどこが錆びているかも良く分からないので(外から見えるシャーシブラックは綺麗なので…)、今回の車検で足回りを一通り整備してもらって、普通にイイ感じだと思っている。

任意保険

任意保険はネット保険でギリギリ9万円を下回った。これは2トントラックだから高いのではなく、管理人の年齢の都合なので、仮にコンパクトカーでも任意保険料はほぼ変わらないハズ。(というか、普通自動車であっても趣味性の高い車両を選んだ日にはもっと高くなると思われる)

ランニングコスト

駐車場は年間で約10万5千円払っている。露天の砂利駐なのでちょっと高い気もするが、トラックOKの駐車場は希少なので仕方ないと思う。趣味用トラックを検討している方は、まずは近隣にトラックOKの駐車場を探すところから始めるのを強くお勧めする。

地方は分からないが、東京と埼玉の県境のようなエリアでは、ハイルーフ・ワイドボディのハイエースが止まっているのに2トントラックは断られるのが実情だ。

納車時の走行距離は202,600kmで、今回車検時に210,505kmだったから、1年間で約8,000km走った。燃費はだいたい10km/ℓくらいで、管理人の住んでいる地域では軽油は140円未満のことが多いので(だいたい、138円くらい)約11万円くらいになる。ただし、毎月の走行距離は安定しないので、燃料代の体感としては月5,000円程度に感じている。撮り鉄で遠方に出かける際は別会計といったイメージ。

といった具合が、この1年間で自家用車に掛かった費用かなと思う。総額、約56万円程度だろう。


1年間乗ってみて

2021年の最終日、年越し野岩鉄道の道中、道の駅湯西川にて

気に入った車なので、言うまでもなく楽しさにあふれている。買ったときにも書いたが、このご時世に乗りたいと思える車に乗れることは間違いなく素晴らしい事です。

キャブオーバーは見切りが良いから運転に気を遣わずに済むし、クラッチぺダルのないスムーサーEも巷では不評だが、個人的には快適に使えている(荷物を満載したら、たぶん最悪)。車中泊も足こそ延ばせないが、後部座席の座面がフラットなので寝袋を敷くだけでOKなのは便利だ。燃費はもう少し頑張ってほしいが、年式と車格を考えれば及第点以上だろう。

あまり使う機会は無いが、実家のガーデニングの手伝いなどで、荷台に汚れても良いような資材を適当に放り込めるのはやはりトラックだ。車内も決して広くはないが、後部座席がフラットというのは良いところで、細かいことを考えずに運びたいものを積める。他の趣味のコミュニティのことなので詳しくないが、オフロードバイクやバギーなどの積載車にWキャブを使われている趣味者は少なくないらしい。荷台には汚れたものを積んで、車内にも荷物をポンポンと放り込める用途は、まさに最適だと思う。

この車両に関しては、DPFの調子がすこぶる良いのは大当たりだったと思う。納車から8000km、一度も手動再生をしたことがないし、自動再生の頻度も低い。ここばかりは、DPFフィルターガチャなところがあると思うが、もう少し年式が古いKK-の車両であれば、DPFは無いがディーゼル規制は適合している狭間にあるような世代になるので、買う際は気にしてみるのが良いと思う。

ただ、インターネットに放流する記事としては、もう少しインフォーマティブな方が良いと思う。デメリットだけを敢えて書くのもどうかと思うが、やはり最新の乗用車と比べると快適性には劣る。

キャブオーバーという特性上、助手席の下にエンジンがある。整備士の方が言うには年式のわりに騒音は静からしいが、そうはいっても轟音だし、振動もそれなりに激しい。フロントのサスペンションこそ凝ったものだが、後輪は板バネなので特有の(らしい)突き上げるような振動は堪える。椅子も悪くはないが、微調整があまり効かないので長距離走ると腰やら尻が痛くなる。

この車両は今では珍しいNAディーゼルだということが関係していると思うが、この車の心地よい巡航速度は80km/h程度だ。交通量の多い首都高や圏央道なら良いが、流れの良い関越道などに入ると流れに乗れない。かと言って、100km/hで長時間走ると燃費も見るからに悪化するし、騒音もハンドリングの安定性にもかなり厳しさがある。おまけに、長距離走れば走るほどGoogle Mapの予想時間との乖離が激しくなるのはどうにもならない。

当初、4WDの車が欲しいなと思っていたが、やはり4WD車のほうが正解だったとは思う。荷物を積まない状態の2WDトラックというのは、後輪のトラクションがあまりにも少ない。勿論スタッドレスタイヤで、まったくの平坦な駐車場がほんの数センチ積雪しているだけでスリップして発進が困難になるレベルだ。坂道など、タイヤショベルが通ったところはNG、グレーダーが除雪した路面でないと無理である。次の冬シーズンはWタイヤ用のチェーンを導入してみたい。


他にも考えればいろいろと感想が出てくるような気もするが、ある程度まとまった文章として思い浮かぶのはこれくらいだと思う。

冒頭に書いたが、納車直後の記事は実はこのブログでアクセス数の多い記事のひとつだ。この情報が、Wキャブが欲しい趣味者の何らかの助けになればと思う。確かに維持費は安くないが、それだけの魅力がある車両であることは、間違いない。

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