最後に海外旅行に出たのは、COVID-19が世界に急速に広がり、パンデミックが始まろうとしている2020年2月のウラジオストク ハサン線の撮影である。
この度、2022年10月28日から11月6日にかけて、フランクフルトを経由してラトビアへ撮影旅行に向かった。今回から数回は「ラトビア巡検2022」と題して更新を進めたい。
フランクフルトへの航空券自体は、8月中旬頃にTwitterでシンガポール航空が最安16万円だという情報を目にしたので、なかば衝動的に購入をしたものだった。
9月のシルバーウィーク前後か、11月の文化の日前後のいずれかに連休を作れそうだったが、シルバーウィークに出国するのは準備不足が予想できたので、今回の日程となった。
撮りたいのものは旧ソ連製の鉄道車両だが、ロシアのウクライナ侵攻が続く中で両国の鉄道の撮影は厳しいものだし、隣国のベラルーシも同様である。
ポーランド、チェコやスロバキアなど東欧諸国の鉄道は独自の発展を遂げて(それらは確かに魅力的だが)現時点で撮りたいものでないし、バルト三国のエストニアとリトアニアには旧ソ連の車両は残ってはいるが、バリエーション豊富とは言い難い。
一方、ラトビアにはTE116という大型の機関車を主力にした貨物列車が走っていて、少数だがM62も現役。電車ならER2、気動車はDR1がそれぞれ主力で、ロシア、ウクライナ、ベラルーシを除くとバリエーション豊富な旧ソ連製の車両を撮影できる唯一の国だと言える。
2022年10月28日
在宅勤務を定時で済ませ、羽田空港第3ターミナルへ。国内線ターミナルは再開した旅行支援で大混雑らしいが、国際線ターミナルは相変わらずの閑散具合で、飲食店で営業しているのはカフェバー1件のみだった。
羽田空港22:45発 SQ 635便でシンガポールのチャンギ国際空港へ向かった。
乗り継ぐフランクフルト行きのSQ 326便、約13時間の久々に乗る長距離便で、前半の数時間は色々な考え事をして悶々と過ごす羽目になってしまったが、なんとか時間を過ごすことができた。
2022年10月29日
フランクフルト空港から中央駅までS-Bahnに乗り、中央駅から駅前の安宿に投宿。
駅前が風俗街で治安が悪そう(厳密に危険かどうかは別問題。恐らく、さほど危険ではない)というのは2018年の旅行で知っていたが、中央駅周辺に安宿はあまりない。1泊50€のAngel Hotelというところに泊まったが、普通に不衛生だったのでお勧めできない。
早速、カメラを片手に夜の中央駅へと繰り出した。
4年ぶりに訪れるフランクフルト中央駅、久々に目にするヨーロッパ式の大きな屋根の駅(こちらは、2019年8月のЛьвів駅以来だろう)と、いかにも異国情緒を醸す保線車両に出迎えられた。
この夜、確認したかったのはRE50/RB51の近郊列車の機関車である。
この系統は2022年秋の時点で、フランクフルト周辺で唯一、東独製のBR114が代走に入っている可能性のある路線であると、YouTubeで教えて頂いた
【Die BR112, 114 und 143 im Jahr 2021 | Zug2013】
これで東独機がやってくれば感激モノだが、所定通りベクトロン牽引の編成がやって来た。二つほど隣のホームの次発の編成がBR146だったので、こちらが代走だろう。
2022年10月30日
駅の喫茶店で朝食後、構内を歩き回っていると、遠くにBR114+2階建て客車の編成を発見。動いている姿を撮れると嬉しいところだが、昨晩に引き続いてRE50/RB51系統はベクトロンとBR146で運転されていた。
2018年のドイツ訪問時は鉄道写真がメインではなかったので、ハンブルクで天気の悪い日に少し撮影しただけだった。今回は是非ともドイツ鉄道を撮ろうと思ったものの、午前中は光線の良い撮影地が見当たらなかったので、まずはトラムの撮影へと向かった。
トラムを橋の上で撮るのは一種の定番的な構図ではないかと思ったので、フランクフルト中央駅から南に位置する、マイン川を渡るフリーデンス橋へ足を運んだ。
黄色は広告塗装だと思うが、なかなか雰囲気が良いと思う。
角ばった雰囲気の、ボンバルディア車より一世代旧式のDuewag Rは撮れたには撮れたが、残念ながら大満足のカットとはならなかった。複数の系統が走るスポットだが、本数が多いわけではないので、そこそこで切り上げて移動することにした。
光線の都合もあり、線路が南北に伸びているフランクフルト南駅の方で何か撮れないかと歩いてみたところ、パタリとトラムが来なくなってしまった。
思えば、道路のところどころが通行止めになっていたので、何かのイベントだろうと来た道を戻ると、フランクフルトマラソンが開催されていて、マイン川の南側どころか中央駅から旧市街を含めて、かなりの系統が運休していた。
旧市街で撮影したかったので残念だが、活動開始が遅かったこともあってすでにお昼時。2018年にフランクフルトを訪れた際に美味しかったフィッシュアンドチップスの店を再訪し、昼食とした。
英語メニューがないので何の魚か良くわからないが、揚げたてで旨く、そして安い。フランクフルト中央駅周辺で食事に悩んだら是非お勧めしたい。以前はNummer 1 In Frankfurtとドアにシールが張られていたが、無かった。(流石に景品表示法違反でイギリス人に訴えられたか)
Münchener Straße
午後になっても相変わらず晴れていたので、昼食後はDBの撮影地へ足を運ぶことにして、S-Bahnに乗り、隣町のOffenbach(Main) Kaiserleiへ向かった。
元々は、東独機が運用されているかもしれないRE50/RB51の撮れる撮影地として候補に考えていた場所である。この辺りの線路脇には遊歩道が整備されていて、手頃な撮影スポットになっている。この日は先客の現地鉄が2,3人いらっしゃった。
今回はフランクフルトマラソンの影響でマイン川南側のトラムが運休していたのでS-Bahnの駅から25分は歩いたが、15/16系統のトラムFrankfurt (Main) Flaschenburgstraßeから徒歩10分も掛からないと思う。
このスポットの良いところは、何より本数の多さである。
例外があるかもしれないが、機関車+制御客車の編成の機関車はフランクフルト側に連結されるので、近郊列車とICEは上下線ともに撮影が可能で、約3~10分おきに被写体がやってくる。
ただ、被写体という点では特に物珍しい列車が来ることも無かったように思う。ICE T, 3, 4, ベクトロン+2階建て制御客車, BR 146+2階建て制御客車, Class 430 EMU, Twindexx Vario Class 445 EMU, FLIRTを撮影できた。残念なことに、ICE 1, 2と客車列車のICはここでは撮影出来ないようだ。
晴れていて光線も良く、良い写真が撮れたと満足したが、ここからが本番だった。
折角なので編成写真も撮りたいと、上手く架線柱や脇の小道を処理できる場所を探していると、奇跡的なレベルの編成写真を狙えるスポットを発見。
【50.104073, 8.717921】アンダーパスの転落防止フェンスの脇
ありがとうございます。これぞ高速鉄道。12連 ICE 4 ザ・編成写真。
撤収のタイミングでやって来たのは16連 ICE 3。
連結器カバー色違いこそ無念だが、夕光線、順光、紅葉、高速鉄道、欲しいものをすべて入れたようなシチュエーション。やはり長編成のザ・編成写真こそ私の求めている写真だと再確認。DB高速鉄道は単位取得ということで。
※言わずもがな、この手の構図であるから、前よりパンタグラフのICE T、編成の短い近郊列車はここでは狙わない方が良い。
※この場所はFrankfurt (Main) Südの手前で、列車はおおむね低速でやってくる。非常に撮りやすい。
16系統トラムで中央駅へ戻り、コインロッカーから荷物を回収した。
S-Bahnで空港へ向かう前に、欧州の駅に別れを告げる気持ちである。
私の趣味を考えるとドイツ鉄道(だけでなく欧州の鉄道全般)の撮影は最優先事項ではないが、ターミナル駅の雰囲気はやはり別格である。そう遠くない将来に再開できたらと思う。
2018年ぶりのairBalticでラトビアの首都、リガへ向かう。
リガの到着は現地時間22時45分。荷物を回収して、22系統のバスはまだ動いている時間だったが、睡魔に負けたのでBoltアプリでタクシーを呼んでホテルへ向かった。
面白い事に、アプリでは13€の見積もりだったが、メーター付きのタクシーが配車されて、メーターの示した料金11€で請求された。運転手にはなんだか申し訳ない気もするが…
旧市街外縁部のLibertyHotel.lvへ投宿した。風呂・トイレ別(汚い)が部屋は清潔でフロントも親切で悪くなかった。首都の中央部で約20€なら悪くないだろう。