根室本線キハ40の旅 後編

2020年3月12日にダイヤ改正が実施されましたが、このエントリーは2021年10月14日から17日にかけての道東への旅行の後編です。

この旅で撮影した区間からキハ40は撤退し、281系気動車も引退してしまいました。

ここのところのウクライナの悲しいニュースに胸を痛める日々です。

大学3年生の夏休みの、10日間にも満たない短い日数だけを訪れた国ですが、ウクライナはとても、とても良い国です。カルパチアの山々の風景を、そこに走る非電化客車列車の姿を、あるいは、キエフ旅客駅の姿を、ドニプロ旅客駅のシルウェットを、川沿いの線路を走る列車の姿を忘れることはできません。

こんな旅行記の冒頭に書くことじゃないと思いますが、いつかウクライナの復興を助ける仕事が出来たらなあと思うほどに。こう思う時点で、ウクライナの情報戦に呑み込まれているのかもしれませんが、それでも、ウクライナはそう思えるだけの思い出のある国なのです。


2520D キハ40 1766

さて、10月16日は浦幌駅北側の跨線橋から撮影を開始しました。

根室本線の下り始発列車は厚内駅-芽室の変則的な区間を走ります。

この列車の撮影後、池田-十弗、芽室-大成の撮影地と移動しましたが、生憎の天気も相まって納得のゆく写真とはなりませんでした。そこで、芽室-大成にて4001Dのおおぞら1号を撮影後、十勝清水駅からキハに乗車することとしました。

十勝清水駅から乗車したのは2547Dの普通列車の帯広行き、ツートンカラーのキハ40 1759でした。

話題は変わりますが、このエントリーを書いている2022年2月中旬、札幌では記録的な豪雪で札幌を発着するJR線が数日間にわたり運休しました。インターネットでは仕方がないじゃないかという意見、JRに説明を求める知事を批判する意見が多くみられましたが、私はどうも釈然としません。札幌は人口190万人の大都市です。電車通勤する人々は、電車通学の学生はどうなるのでしょうか。

話を戻しますと、必ずしも本数の多い路線ではないとはいえ、土曜日ということもあってか、この列車は学生の利用が多かったのが印象的でした。


2549D キハ40 1758+キハ40 1766

柏林台駅で下車し、同行者と合流したのちに幕別駅へ向かいました。この列車は帯広と池田の短距離運転です。

2427D キハ40 1740

幕別駅で撮影した編成の池田からの折り返しとなる2552D列車を利別駅の跨線橋から撮影しようと思ったところ、閉鎖されていたので国道の跨線橋からお茶を濁します。


雨足も強まってきましたが、幸福駅に保存されているキハ22へ向かいました。帯広中心部から20kmは離れていますから、案外距離があります。

SNSで、カラマツを背景にしたキハ22の素敵な写真を拝見したので、似たようなカットを収めようと思っていましたが、どうやらそれは、キハ22の車内に飾られている写真(を写したもの)だったようです。

とはいえ、非常に良い雰囲気のロケーションでの撮影を楽しむことができました。生憎の天気でしたが、雨に濡れたホームに反射する駅名標や照明、これはこれで良いです。

この日は「ホテルアルムもみの木帯広東」へ投宿し翌日に備えました。


2542D キハ40 1766

前日に引き続き、優れない天気ですが、10月17日は幕別駅からスタートしました。

この天気と相まって訪問したい撮影地を厳密に決めていたわけではありませんでしたが、ツイッターで好ましい雰囲気の鉄橋を渡る写真を拝見したので、場所を探してみることとしました。

地図を見ていると一目瞭然ですが、根室本線が川を渡る箇所は多くありません。間違いなく新得方面だろうと目星をつけて車を走らせ、発見しました。

この好ましい鉄橋は新得-十勝清水間の佐幌川に架かっています。(43.039580, 142.860569)鉄道橋の東側の道路橋(古潭橋・町道清水第1線道路・国道38号線の旧道)から撮影することができます。

この辺りに架かる鉄道橋の一部は平成28年の台風で流出し、コンクリート橋に置き換えられているので、鉄橋の姿を留める貴重な鉄橋ではないかと思います。

雰囲気が良く、キハの通過時刻の都合も良かったので、ツートン・タラコともに撮影することとしました。瞬間的に晴れ間が出て期待もしましたが、通過時は総て曇り空となり、やや悔しい思いをしています。

2421D キハ40 1758

大成の有名撮影地に戻りまして、ここで単行のタラコを撮影できました。

背景は完全に雲に隠れてしまっていますが、これまでは雨が降っていたり、ピントを外してしまったりと相性の悪い撮影地だったので、これで良しと思います。

4006D おおぞら6号

2421D撮影後の撮影地をあまり考えておらず、上りの「おおぞら6号」を音別辺りで撮りたいなと思ったものの、時間的に厳しい事は明白でした。

それならば常豊信号所の手前の踏切で撮っておこうと訪問すると、砂利道の奥から車が走ってきましたので、何があるのだろうと信号所のさらに先まで来たのがこの場所です。現時点で、実質的に林道の終点になっているような空き地です。(42.839879, 143.685098)

時々青空が見え始め、期待を感じさせる空模様でしたが、後追い撮影で「バリ晴れ」となれば悔やんでも悔やみきれないでしょうから、この一枚で非常に納得しました。

午後になると音別の有名撮影地は光線がイマイチとなりますが、引き続き特に予定がなかったので、キハ261系の「おおぞら8号」をとりあえずの被写体として、この場所へと向かいました。7月訪問時も思いましたが、浦幌~厚内の山を越えると天気が変わるように思います。

前日にH100系が釧路へと向かっているのを移動中に目撃していたので、まさか来たりしないかなと言っていたところ、まさかのまさか、本当に試運転がやってきました。

2022年3月12日からのダイヤ改正では新得~釧路間で運転される普通列車は全てH100系となる予定ですが、おそらく通常運転では見れないだろう4連での試運転、貴重な姿をカメラに収めることができました。尚、目当ての特急はやや遅れていたのか、来ないなあとスマートフォンを眺めている間に通過してゆきました…

試運転と「おおぞら8号」の通過後、国道の跨線橋に戻り、貨物列車の通過を待ちました。

この日は日曜日でしたから、貨物列車が運転されるのは不明でしたが、この日もフル積載の編成でやってきました。

私は貨物列車には詳しくはないですが、前々日に撮影したものはスカートがグレーに塗られた100番台、この日はスカートの赤い0番台。バリエーションを撮影できてなかなかラッキーでしょう。

2526D キハ40 1741

DF200の通過から待つこと10分と少し、キハ40の単行が通過しました。素晴らしい、実に素晴らしいです。

この時点でもタラコ色の一両はおそらく釧路に留まっていると思われたので、ひょっとしたら…と思ったものですが、そう都合の良い事はありませんでした。

2526D キハ40 1741

通過したキハを追います。

今回の遠征で3度目の常豊信号…今度は厚内の山間部を抜けても太陽が雲に隠れることなく、最高の一枚を手にしました。

2427D キハ40 1738

2526Dを撮影して満足したところではありますが、浦幌駅北側の跨線橋からもう一枚。この跨線橋も最後の最後に晴れた一枚を仕留めることができたわけであります。

2551D キハ40 1758

空港へ向かう前に札内駅に寄り道。

構内踏切というと、私が幼いころ、地元の最寄り駅には構内踏切がありました。当時は路線を使う用事もなかったものですから、いつか使いたいなと思っているうちに海外に引っ越すことになり、帰国したらホームが新設されて構内踏切は廃止されていたように思います。そんな思い出があるなあという一枚です。

空港へ向かう途中のラーメン屋で夕食として、帰りの飛行機は国際線機材だったのでクラスJへアップグレード、羽田へ戻ったのでした。


後悔しない撮影なんて無理に決まっています。一年365日、鉄道のことを考えている人間ではないので、その時、その時に満足すれば良いのだろうとは思いますが、それでもやはり、ダイヤ改正となるともっと撮っておけばよかったと思わずにはいられないものです。

それでも、就職し、仕事を1, 2時間早くに切り上げればその日のうちに札幌に無理なく着けるという環境になったから、そして趣味仲間に恵まれたからこそ、根室本線のキハ40とキハ283系気動車の最後を撮影することができたということは、忘れてはなりません。


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